僕はスーパーマーケットで働いており、商品を仕入れて販売することは出来るようになったのですが、売上と利益をマネージメントする方法を知りたいです。教えてもらえませんか?
わかりました。売場を作ることと売上と利益をマネージメントすることは違います。今回は「売上と利益のマネージメント」についてなるべく簡単に分かりやすく解説します。
本記事の信頼性
私は「販売職×食品」業界で、これまで2回の転職に挑戦してきました。
✅1度目は24歳の時”スケールアップ”転職
地域生協から一部上場GMSへ・・売上規模20倍の企業への転身
✅2度目は30歳の時”ステージアップ”転職
一部上場GMSから県域一番の食品SMへ
売場責任者(主任)→バイヤー、店長、事業責任者へ
タイプの違う3つの食品小売企業で経験を積む業界のプロです。
【Twitter】https://twitter.com/masa_m2
2022年に業界知見をまとめた著書
「スーパーマーケットの新潮流」を出版しました。
それでは進めていきましょう!
まずは、今回使う指標は2つ。「売上高」と「荒利益率」
まず、今回は基礎知識としてシンプルにこれだけ2つだけ知っておいてください。
【スーパーマーケッター必須の知識】
①売上高・・・レジを通ってお客様からいただいたお金の合計!
②荒利益率・・・売上高から仕入れ金額を引いて得られた売上に対する利益率のこと!
売上と利益、これに焦点を絞って進めていきます。
細かなことは今回は言いません!
一日の営業が終わり、売上高が確定した時にわかること
極端な話ですが、今日10種類の商品が売れたとします。
すべての商品には仕入れた時の原価(仕入れ値)がシステムに登録されていますので、レジを閉めたときにその日の売り上げと利益が確定します。(下図)
商品名 | 売数 | 売価 | 売数×売価 | 各商品の利益率 | 売上高×荒利益率 | |
売上高 | 荒利益率 | 荒利益高 | ||||
1 | ジャガイモ1袋 | 100 | ¥298 | ¥29,800 | 15% | ¥4,470 |
2 | ニンジン1袋 | 50 | ¥198 | ¥9,900 | 10% | ¥990 |
3 | 玉ねぎ1袋 | 30 | ¥198 | ¥5,940 | 15% | ¥891 |
4 | 牛肉1パック | 80 | ¥580 | ¥46,400 | 30% | ¥13,920 |
5 | バーモンドカレー1個 | 30 | ¥300 | ¥9,000 | 20% | ¥1,800 |
6 | 米5kg | 50 | ¥1,580 | ¥79,000 | 10% | ¥7,900 |
7 | 福神漬け1袋 | 20 | ¥198 | ¥3,960 | 30% | ¥1,188 |
8 | 甘酢ラッキョウ1袋 | 15 | ¥250 | ¥3,750 | 30% | ¥1,125 |
9 | 麦茶2L | 300 | ¥180 | ¥54,000 | 18% | ¥9,720 |
10 | ポテトサラダ(小) | 100 | ¥198 | ¥19,800 | 35% | ¥6,930 |
合計 | ¥ 261,550 | 18.7% | ¥48,934 |
今日一日お店を営業して得られた売上(レジに入ったお金)は¥261,550で
得られた荒利益は¥48,934となります。
【売上の中から自分の懐に入る荒利益率は何パーセント?】
一日の荒利益率は、¥48,934÷¥261,550 =0.187 となるので
→少数を%(百分率)に変換して「18.7%」になります。
これが分かれば、大丈夫です!
売上と利益を上げるにはどうすれば良いか?
ここからが面白いところです。
ただ商品を並べて売っているだけでは売上は最大化されません。
それではどのようにすれば良いのでしょうか?
僕は販売の事ならよくわかるよ!
バーモンドカレーを特売に設定して、他の食材を買ってもらうというのはどうかな?
それっ!その考え方が大切です。それでは、極端な話バーモンドカレーを100個限定(1家族様1個限り)で¥100にして新聞の折り込み広告に掲載したらお客様が1.5倍来たとしましょう。するとどうなるかなあ?
考えてみてください。
バーモンドカレーが「¥100」ですか???それはすごいですね(驚)!
それでは、実際のシミュレーションはこちらです。
商品名 | 売数 | 売価 | 売数×売価 | 各商品の利益率 | 売上高×荒利益率 | |
売上高 | 荒利益率 | 荒利益高 | ||||
1 | ジャガイモ1袋 | 150 | ¥298 | ¥44,700 | 15% | ¥6,705 |
2 | ニンジン1袋 | 75 | ¥198 | ¥14,850 | 10% | ¥1,485 |
3 | 玉ねぎ1袋 | 45 | ¥198 | ¥8,910 | 15% | ¥1,337 |
4 | 牛肉1パック | 120 | ¥580 | ¥69,600 | 30% | ¥20,880 |
5 | バーモンドカレー1個 | 100 | ¥100 | ¥10,000 | 0% | ¥0 |
6 | 米5kg | 75 | ¥1,580 | ¥118,500 | 10% | ¥11,850 |
7 | 福神漬け1袋 | 30 | ¥198 | ¥5,940 | 30% | ¥1,782 |
8 | 甘酢ラッキョウ1袋 | 23 | ¥250 | ¥5,750 | 30% | ¥1,725 |
9 | 麦茶2L | 450 | ¥180 | ¥81,000 | 18% | ¥14,580 |
10 | ポテトサラダ(小) | 150 | ¥198 | ¥29,700 | 35% | ¥10,395 |
合計 | ¥ 388,950 | 18.1% | ¥70,739 | |||
【販促費として】バーモンドカレー原価¥240なので1個売れるごとに¥140のマイナスが発生。 ¥140×100個=¥14,000 これを販促費ととらえます。 |
||||||
荒利益高から販促費を引いて残った荒利益は、¥70,739-¥14,000=¥56,739となります。 |
結果として、前回の収支と比べて荒利益高は¥56,739に上がりました。
でも荒利益率は ¥56,739÷¥388,950=0.145 14.5%と下がってしまいました。
スーパーマーケットにとって最もたいせつなこと
本日の結果を見ていただくとわかるように、スーパーマーケットで最も大切なことは、絶対的に「客数」であるということです。
荒利益率は、そんなに変わるものではありません。どこの企業も同じくらいの原価で仕入れています。でも創意工夫をすることで客数さえ呼ぶことができれば、(例えばバーモンドカレーを¥100で販売するなど)むしろ売上が上がり”荒利益高”は高くなるのです。
これがスーパーマーケットの真髄です。
客数が落ちだしたら何か対策を打たなければ必ず潰れます。
集客のために販促費を掛けて、結果として荒利率は落としたとしても、荒利高が確保できれば問題はないということを知っておいてください。
スーパーマーケット不変の方程式
次にスーパーマーケットで使われている方程式を紹介します。
【スーパーマーケット不変の方程式】
売上 = 客数 × 客単価
売上を上げるためには、
①客数を上げる
②客単価を上げる
の2つしかありません。
【客数を上げる方法】
客数とは”レジ通過人数”のこと。レジ通過人数とは、来店人数と1人あたりの平均来店回数で計算することができます。
例えば、1か月に5,000人のお客様が平均3回買物されたら、
客数 = 5,000人 × 3回 =15,000人 ということになります。客数を上げるためには、先ほどのように特売をしたり、来店プレゼントや「〇倍ポイントデー」などを企画するなど集客マーケティングを駆使する必要があります。
魅力ある商品を安く売ることから逃げてはいけません。スーパーマーケットの宿命です。
【客単価を上げる方法】
客単価を上げるには、魅力のあるお店づくりが必要になります。
いくらマーケティングの精度が良く集客ができたとしても、買いたくなる商品が無ければ買物が発生しないからです。一品でも多く買っていただけるための
「商品」「品揃え」「サービス」が必要となります。(一例ですが)
~客単価が上がるのは、こんな時~
◆TVで見て、欲しかった新商品が売っていた時
◆今年初入荷の果物があり、試食したらとても美味しかった
◆魚売場で今日獲れたての魚をその場で刺身にしてくれた時
◆出来立てアツアツのコロッケが出てきた時
◆重いお米を100円で自宅まで配送してくれるサービスが始まった時
◆ここでしか買えない商品を発見した時
◆1パック398円のお肉が2パックだと750円になる時。
※お肉は冷凍できるので1パック多く買ってしまった
◆夕方タイムバーゲンが始まり丁度切れていた食パンが安くなった
◆値引き商品が目に入った。欲しくないのにプリンを購入。
◆レジに並んでいた時に、レジ前に置いてあった団子をカゴに入れてしまった楽しんで創意工夫ができる職場がどうやら客単価があがりそうですね。
売上を上げ、荒利高を上げる方法を考える
売上をあげたら、先ほどのような事例で利益高を取っていくことを考えなくてはなりません。
安定した利益を確保しつづけることが出来れば、サステイナブル(持続可能)な経営が出来るのですから。
多くのスーパーマーケットでは、役割分担が進んでおり
客数=マーケティング部の責任
客単価=お店(販売部)の責任
というところが多いと思います。それぞれの部署が責任をもって進めていくことが大切です。
「販売職×食」業界で働いてみませか?
新卒で入った会社での自分の成長が感じられなくなりました。
先輩社員を見てると自分の将来が心配で・・。
若いうちに有益な経験を積んでおきたいと思い転職を考えているのですが、どう進めるのが良いのか・・悩んでいます。
そんな方にスーパーマーケット業界をおすすめします!
スーパーマーケット業界で働くメリットは、
【業界の特徴】
①仕事の汎用性が高く、現場のスキルを獲得することで日本中どこのスーパーでも正社員として働くことができます(専門性がある仕事)。
②”お客様のおいしい笑顔と健康をつくる”他者貢献の仕事です。
③”食べる”は不況に強い。コロナ禍ではむしろ売上が伸長する等、世の中の情勢に左右されにくい安定した業界です。
④お店の仕事だけではなく仕入担当(バイヤー)、物流管理、施設管理、人事総務、関連会社への出向など幅広い仕事をすることができます。
そんなスーパーマーケット業界にナビゲートします!
1st.転職への戦略を練ろう!
まず転職をすることを決意した時にはスケジュールを組む必要があります。
会社に退職の意思を示してから8か月以内に就職するのが良いと思います。
上図を参考に、ご自身のスケジュールをイメージしてみてください。
何だか心のモヤモヤが晴れ、ワクワクしてきませんか?
2nd.最強の「転職・攻略の書」と共に準備を進める
日本で最も就職が難しかった時代のことを「就職氷河期」と言います。
バブルがはじけ、先の見えない長い不況に入り(失われた30年と言われる)、しかも子供の数が一番多かった団塊Jr世代が就職・転職活動をしていた時代です(1995年~2005年)。
その時代に最も有名で、最強の書と言われていた本が「面接の達人(通称:メンタツ)」です。
私もこの本を参考に転職を成功させてきた1人であり
履歴書はどんなことを書くのか?面接ではどんなことを話すのか?それは”2つ”に絞られる
ということが分かりやすく書かれており普遍的で読みやすいのでおすすめです。
【中谷章宏さん紹介】~リーダー論の講演より~
↓ 「面接の達人」の内容を詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください!
3rd.良い企業の面接がGetできる「プロの転職サイト(完全無料)」を使う
退職すると失業保険の手続きでハローワークに行き、求人情報を閲覧することができますが、大手の優良採用募集はあまりないと思います。
なぜなら優良の採用募集は、募集を出す媒体が事前に決まっているからです。
企業は質の高い人に来てほしい。日本には解雇規制があるので一度雇用したら解雇することが出来ないからです。失敗したくないので、きちんと転職サイト(エージェント)で人材を選別してもらい優秀な人を集めた中から採用したいと思うからです。
しかし多くの転職サイト(エージェント)に登録しても情報の整理が出来なくなるだけです。
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スーパーマーケット業界のすべてを解説
今回も最後まで読んでいただき有難うございました。
今後も有益な情報が提供できるよう頑張ってまいります!
スーパーマーケットのビジネスモデル シリーズ