会員制スーパーセンター『コストコ』の凄いビジネスモデルを検証~日本のスーパーにはできないこと~

Masa-kun
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コストコホールセールの人気が高まっています!

年会費を払うことでかなり安く商品を購入することができることは、皆さんよく知られていますが、他のスーパーへ商売を卸している(外販)ということはあまり知られていないと思います。

よく地方のスーパーで「コストコフェア」を開催していたりしますが、それはコストコの法人会員となって商品を購入し(実際の値段と同じ)少し高くして販売しているというビジネスモデルです。

高くても売れるの?と思われるかもしれませんが、近くにコストコが無い場合、コストコまでの交通費や会員費を払うことを考えると安いからです。

 

私は日本のスーパーマーケッターとしてコストコを見ると、つくづくビジネスモデルが練り込まれているなと感じます。

 

”圧倒的”に安い価格と”圧倒的”に差別化された商品群の掛け算!

今回もコストコを徹底的に解剖していきたいと思います。

本記事の信頼性

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私は「販売職×食品」業界で、これまで2回の転職に挑戦してきました。

 

✅1度目は24歳の時”スケールアップ”転職

地域生協から一部上場GMSへ

 

✅2度目は30歳の時”ステージアップ”転職

一部上場GMSから県域一番の食品SMへ

売場責任者(主任)→バイヤー、店長、事業責任者へ

 

タイプの違う3つの食品小売企業で経験を積む業界のプロです。
【Twitter】https://twitter.com/masa_m2

 

2022年に業界知見をまとめた著書

「スーパーマーケットの新潮流」を出版しました。

『スーパーマーケットの新潮流~生鮮DSと小商圏店舗型NS登場によるSM業界の変革』要点まとめ解説
スーパーマーケット業界は大きな転換期を迎えている。変革の主軸は、生鮮ディスカウントストアの登場。生鮮食品の鮮度、惣菜の品質、人気商品の価格、この3点を兼ね備えた新しいスーパーマーケットが圧倒的集客を実現している。もう一つの軸が黒字モデルのネットスーパー。長年赤字経営が指摘されてきたネットスーパーに新しいモデルが登場した。

東京・神奈川のコストコ買物代行
Huskycart(ハスキーカート)

世界の小売業 売上高ランキング

まず世界の小売業売上ランキングを確認していきましょう。

【2022年】世界の小売業売上ランキング
順位 企業名 本拠地 売上高(100万米ドル) 純利益率
1 Walmart Inc 米国 559,151 2.5%
2 Amazon.com,Inc. 米国 213,573 5.5%
3 Costco Wholesale Corporation 米国 166,761 2.4%
4 Schwarz Group ドイツ 144,254
5 The Home Depot,Inc. 米国 132,110 9.7%
6 The Kroger Co. 米国 131,620 2.0%
7 Walgreens Boots Alliance,Inc. 米国 117,705 0.3%
8 Aldi Einkauf GmbH & Co. ドイツ 117,047
9 JD.com,Inc 中国 94,423 6.6%
10 Target Corporation 米国 92,400 4.7%

出典:デロイトトーマツ社(詳細はこちらをクリック)

1位は世界最大のスーパーマーケットであるウォルマート
2位は世界最大のECショップであるアマゾン

そして3位が
今回紹介する会員制ホールセールのコストコです。
日本だけではなく、世界中で人気がある企業です。

ウォルマートもそうですが、フランスのカルフールやイギリスのテスコなど世界の大手スーパーマーケットが日本で店舗を構えるも、上手くいかず撤退した企業は数多くありますが、その中で唯一と言っても良いほど海外進出から成功しているのがコストコなのです。

ちなみに4位は世界最大のディスカウンターと言われるリドルというお店の会社で、
5位は世界最大のホームセンターです。

6位はアメリカの大手小売業
7位は世界最大のドラッグストアです。

8位はアルディというリドルと同じタイプのディスカウンターで、
9位は中国のECショップ、10位もアメリカ大手小売業です。

全体的にはやはり米国(アメリカ)の企業が強いですね!

1店舗あたりの売上高はコストコが世界ナンバー1!

~参考データ~
コストコはなぜ儲かっているのか? 「決算書」から損益構造を読み解く | Frontier Eyes Online by フロンティア・マネジメント (frontier-eyes.online)

公開されている決算情報からコストコを読み解いていくと、コストコの特殊性を垣間見ることができます。例えば1店舗あたりの売上。人気テナントの売上が幾重にも積み重なって作るショッピングセンター型の大型店でも年間売上は150億~200億円程度ですが、コストコはそこまで巨大ではない1店舗での平均売上は293億円とのこと。これは普通で考えると謎ですが、
これは外販が含まれているからで間違いありません。売上の半分以上は外販である様に見えます。

今回のデータを見て驚いたのが、コストコの圧倒的な「売場面積あたり売上」とは別に、ウォルマートとドンキホーテの「売場面積あたり売上」が同じくらいというデータ。ドンキのビジネスとウォルマートのビジネスにも類似性があるように思えます。(これは今後の課題)

また、コストコの売上総利益(荒利益高=売上高-仕入高)は売上に対し11.1%とかなり低いです(通常のスーパーは30%程度)。仕入価格にあまり利益の載せないビジネスモデルであることがわかります。「人気を取ることが最優先、結果として勝つ!」これは、なかなかできないことですが商売の真理なのかもしれません。

販売管理費(人件費や設備費やその他の経費)も売上に対し9.6%とかなり低いです。
これは外販というのは、商品を渡すだけの物流業務で、立つ売上が大きいからということが予想されますが、
それ以外にもコストコでは細かな商品補充をしているところを見ませんよね。
基本商品は山積みとなっており、無くなったら終了。ある物を買ってくださいというスタイルです。お肉、寿司、惣菜、パンなどは出来立てを陳列していますが、商品補充をしなくても倉庫の様になっているので。基本多くの商品は補充をしなくても良い仕組みとなっています。

また重要な要素として、コストコの年会費収入は、売上に対し2.02%となっています。
先ほどの表からもコストコの最終利益は2.4%。会員費が利益の根源となっていることがわかります。薄利多売で圧倒的な売上を作り、利益は商品からではなく年会費から作るモデルですね。

今回の資料で興味深かったのが、分類別の売上です。

コストコ 一般的な日本のスーパーマーケット
一般食品 40.2% 45%
生鮮食品 14.2% 45%
雑貨 29.1% 10%
サービス 16.5% 0%

製造のため、多くの人件費がかかる生鮮食品の比率が低いのが特徴ですね。サービスというのは、外にあるホットドックやピザを販売しているコーナーのことでしょうか?

決算書から読み解ける分析としては以上ですが、坪売上から予測すると”外販の売上が半分以上はある”と見るのが正解かと思います。

圧倒的な低価格の具体例

会員制スーパーセンター『コストコ』は本当に安いのか?検証
物価高騰に徹底対向!会員制スーパーセンター『コストコ』の安さと活用法を徹底解説します。コストコには他のお店と比べて圧倒的に安い商品がたくさんあります。上手に利用すると絶対お得です。コストコが安く売れる秘密は事前に払う年会費とコストコだけのオリジナル商品。スーパーのバイヤー視点で言うと仕入れ価格より安いものがあったりするので驚きです。 オリジナル商品の中には、日本では売っていない高品質なものも!! それでは、どうぞ!

上記記事で価格調査を行いましたが、コストコはその利益率の低さで証明されているように圧倒的に安いことがわかっています。今回も一例を紹介します。

商品名 内容量 コストコ店頭価格(税込) 本体価格(税抜) 比較換算(税抜) 他社スーパー一般価格(税抜) 備考
オイコス1個(113g) 12個セット 1098円 1016円 1個84円 1個148円 圧倒的価格差44%安
Kiriクリームチーズ 24個セット 858円 794円 1個33円 1個50円 圧倒的価格差44%安
キュキュット洗剤 1500ml 538円 498円 100gあたり0.32円 100gあたり0.36円 価格差あり11.2%安
炭酸水500ml 24本入 899円 832円 1本あたり34円 1本あたり58円 圧倒的価格差42%

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正直、日本の販売価格と比べて圧倒的な価格差です。絶対買いですが、プロの眼で見ると日本より高いものも混ざっていますので、ご注意くださいませ。全てが安い訳ではありません。

圧倒的な差別化商品を紹介します!

最後に日本のスーパーマーケットには無い、差別化された商品を紹介します。沢山ありますので、ほんの一部と思ってください。

プライムビーフ・・・日本でUSビーフのグレード表示はあまり見かけません。その理由としては日本には和牛があるので、基本松竹梅でいくと、松=黒毛和牛、竹=国産牛(ホルスタイン)、梅=輸入牛というランク付けがあります。でも本当は品質の高いUSビーフは存在し、それはコストコで安く購入することができるのです。一度食べていただきたいです。とれも美味しいです。

オリジナルピザ・スモークサーモン・オリジナルスイーツ

コストコでしか販売していない商品がいっぱいあります。どの商品も品質は高く、グラム単価は安いです。ケーキの重さなんて日本のケーキの2倍はあるのではないでしょうか(味も美味しい)。1個当たりの単価が高いですので、良く吟味してお買い物くださいませ!

コストコのお店の秘密を解明してきましたが、コストコの魅力は伝わったでしょうか?
皆さんも是非コストコに行ってみてください!

スーパーマーケット業界に興味を持った方へのメッセージ

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スーパーマーケット業界はご家庭に毎日の新鮮な食材をお届けする

街のライフライン”としての大切な機能を担っており

かつ、毎日の食生活をより楽しく、より豊かに演出する

食のテーマパーク”でもあります。

私はこのブログでスーパーマーケットで働く楽しさをお伝えしています。

ご興味がある方は、是非下記記事もご覧ください。

 

【スーパーマーケットのお仕事を完全解説】
https://masa-kun-blog.com/%e3%80%8e%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e8%81%b7x%e9%a3%9f%e3%80%8f%e3%82%b9%e3%83%bc%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e4%b8%96%e7%95%8c%e3%81%b8%e3%82%88%e3%81%86/

 

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【Twitter】https://twitter.com/masa_m2「販売職×食」業界の専門家|経歴:生協、GMS、食品SM|職務:バイヤー、店長、ネットスーパー、マーケティング(MD立案)|「販売職×食」業界の歩き方、昇り方、渡り方について発信します。

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