【楽しく学べる】スーパーマーケットビジネスモデル解説③~スーパーの価値についての考察~

Kei-kun
Kei-kun

僕はスーパーマーケットで働きたいと思っているんですが、スーパーマーケットがどんなビジネスモデルで成り立っているのか知りたいです。教えてもらえませんか?

この記事では、そんな悩みに答えたいと思います。

本記事の信頼性

Masa-kun
Masa-kun

私は「販売職×食品」業界で、これまで2回の転職に挑戦してきました。

 

✅1度目は24歳の時”スケールアップ”転職

地域生協から一部上場GMSへ

 

✅2度目は30歳の時”ステージアップ”転職

一部上場GMSから県域一番の食品SMへ

売場責任者(主任)→バイヤー、店長、事業責任者へ

 

タイプの違う3つの食品小売企業で経験を積む業界のプロです。
【Twitter】https://twitter.com/masa_m2

 

2022年に業界知見をまとめた著書

「スーパーマーケットの新潮流」を出版しました。

『スーパーマーケットの新潮流~生鮮DSと小商圏店舗型NS登場によるSM業界の変革』要点まとめ解説
スーパーマーケット業界は大きな転換期を迎えている。変革の主軸は、生鮮ディスカウントストアの登場。生鮮食品の鮮度、惣菜の品質、人気商品の価格、この3点を兼ね備えた新しいスーパーマーケットが圧倒的集客を実現している。もう一つの軸が黒字モデルのネットスーパー。長年赤字経営が指摘されてきたネットスーパーに新しいモデルが登場した。

 

 

そんな私がスーパーマーケットの具体的なビジネスモデルについて解説するシリーズです。
今回は。スーパーマーケットの価値についてサクッと解説します。
それでは進めていきましょう!

スーパーマーケットの価値とは何か?絶対的1位は「立地」 である。

スーパーマーケットの価値を分析する時に、複数のスーパーがある地域に住んでいる方が、どこのスーパーにいくのか?そしてその理由とは何か?という問いの答えは、以下のアンケートにヒントがあります。

消費者のスーパーマーケットへの意識アンケート

それでは上記アンケートの結果を見ていきましょう。

Q.あなたがスーパーマーケットを選ぶポイントは何ですか?(フルタイム有職主婦)
1位.家から近い 65.8%
2位.職場から近い 43.3%
3位.品揃えが良い 38.5%
4位.価格が安い 30.2%
5位.ポイントサービス 29.1%
6位.駐車場が広い 25.5%
7位.商品の品質・鮮度が良い 21.8%
8位.店内の清潔さ 19.6%
9位.店内の明るさ雰囲気の良さ 18.9%
10位.商品の陳列が分かりやすい 14.5%

これを見て分かることとして、業界人であれば納得できることがいくつかあります。

【基本、同じ商品&同じ販促を展開するチェーン店同士のお店の傾向】
①狭いお店の方が、広いお店より圧倒的に売上が高いことがある。
②売上が高い店はいつも高い。
③近くに競合店が出来ても、売上が減ってしまう店舗と減らない店舗がある。
④近くの競合店が閉店すると必ず一定は売上が上がる。
⑤店舗を改装すると、売上が必ず一定上がる。

つまり、店舗の売上を左右する”圧倒的一番の理由”は立地であるという事実です。
いくら近隣の住人が多く、品揃えが多く取れる大きな店舗を建てたとしても、近隣の幹線道路沿いに、とても車で入りやすい人気店があれば、そこを通過してまで自店に来ていただくことはなかなか難しいということです。

「お客様に挨拶もせず、そんなに品揃えが多くないのに、いつも売場整頓ができておらずガタガタで・・・」というお店がその会社の一番店ということも業界ではよくある話です。

立地の次に来る価値は「店舗規模(大きさ)」である

しかし立地条件が同点であれば、3位~10位の勝負となり、商機&勝機が出てきます。

同じ条件下に立った時の店舗の価値の次にくるのが店舗規模です。
①品揃えの多さ=店舗規模の大きさ 38.5%
※品揃えの多さとは、実質、店舗規模の大きさのことです。
②駐車場が広い 25.5%
※店舗規模の大きさに比例します。
③商品の陳列が分かりやすい 14.5%
※店内がある程度広いからカテゴリーを分かりやすく陳列できます。狭いと探しやすいですが、棚に入らない商品は無理やりミニ机に置いたり、無理やり類似分類に入れ込んだり、そもそも無かったりします。狭い店舗はコンビニの様に割り切るしかありません。

店舗規模が大きいだけで
38.5%+25.5%+14.5%=78.5%のお客様人気が獲得できます。

次は会社全体で「低価格」「ポイントセール」「品質・鮮度UP」を実現

立地と店舗規模はマーケットと企業が決めることで、従業員さんと関係はありません。
大型店舗で集客が出来ていない場合、出店を判断した人に責任があります。

しかし”ガップリ四つ”の競合店同士の戦いは、この先の価値で勝負が決まります。
ズバリ、1章のアンケートからも分かるように、その次の価値は

1位.価格 2位.ポイントサービス 3位.商品の品質・鮮度が良い

です。価格と商品の品質と鮮度は商品部(バイヤー)責任ですし、
ポイントサービスはマーケティング部責任です。
販売部と商品部とマーケティング部がしっかりと肩を組んで対策を実行しなくてはなりません。
競合店とガップリ四つで戦う場合、会社全体のチームワークで雌雄が決します。

会社全体で価格をコントロールし、魅力のある商品や鮮度の良い生鮮食品をお安く提供し、集客が出来る様にチラシを打ち、ポイントセールをきっちりと実施する必要があります。
ここでは予算が必要です。お金が掛けられないのであれば、細々営業するしかありません。

クリンネスと接客、設備のメンテナンスは店長のリーダーシップで!

最後は、アンケートでも8位と9位にランキングしたことですが、この2つはお店だけで出来ることです。

クリンネス、つまり掃除と接客(明るい挨拶とお客様対応)の2つです。

毎日忙しく働いている皆さんが掃除をこまめに実施することは難しいという現状がありますし、お客様との時間を増やせるほど余裕のある人員配置ではないこともわかります。

私は一部上場の大手GMSに在籍していましたが、大手では店舗全体の清掃は専門業者が入っており、依頼すればピンポイントの清掃もしてもらえるので作業に集中できます。

その点でも大手は有利です。

しかし!清掃の日時&場所を決めて開店前に皆で売場清掃を実施したり(商品が並ぶ前に皆で掃除していく)、バックルームの清掃をスケジュール化して実施していくなどの創意工夫や
楽しく働く環境作りを進めることで、感じの良い明るいお店作りを実現していきたいものです。

即効性はありませんが、大切なことだと思います。

まとめ

今回はアンケート結果を基にスーパーマーケットの価値とは何か?という話をしました。
マーケットを分析して集客力のある立地に多くの人が利用できる魅力のある大型店を作ることで、繁盛店(ドル箱店舗)を意識的に作っていくことは可能だと思います。

しかしその後の商品価格をどこまで落すのか?やポイントセールの投入、価値ある商品の投入は専門部署も一緒に会社全体で取り組んでいくことが大切です。

最後は価値としては見えにくい価値ではありますが、清潔な売場の維持や明るい接客はお店の皆が自分のお店が大好きでないと実現できないことだと思います。人事部の企業風土作りや店長さんの日頃の従業員さんへのコミュニケーションが大切だと思います。

皆さんもお近くのスーパーに行った際は、そういったところを見てみてください。
働く場としても、そんな笑顔の従業員さんが多いスーパーが断然おすすめです。
今回はこれで終わりにしたいと思います。有難うございました。

Masa-kun
Masa-kun

スーパーマーケット業界はご家庭に毎日の新鮮な食材をお届けする

街のライフライン”としての大切な機能を担っており

かつ、毎日の食生活をより楽しく、より豊かに演出する

食のテーマパーク”でもあります。

私はぶスーパーマーケットで働く楽しさをお伝えしています。

ご興味がある方は、是非下記記事もご覧ください。

 

【スーパーマーケットのお仕事を完全解説】

【総まとめ】「販売職×食」スーパー業界ってどんな仕事?スーパーマーケット業界の総合情報
日本の就業人口6,500万人のうち、卸売業&小売業界には約1,000万人が働いており、かつスーパーマーケット業界で働いている人は120万人です(全体の約15%!)。今回はこのスーパーマーケット業界で働くコトについて詳しく解説していきたいと思います。やはり外からの印象と実際に中で働くコトには違いがあります。実際に正社員で働く時にはどんな仕事をするのか?どんな人が向いているのか?スーパーで働くうえで大変な事とは?を詳細解説します。

 

スーパーマーケット業界で働いてみよう!業界の中でもっとジャンプアップをしたい!
と思われた方は、下記の記事がお薦めです。是非ご覧ください。

【楽しく学べる】スーパーマーケットのビジネスモデル シリーズ

【楽しく学べる】スーパーマーケットビジネスモデル解説①~店舗レイアウトと部門の役割について~
スーパーマーケットがどんなビジネスモデルで成り立っているのか分かり易く解説します。まず店舗全体を部門に分割して解説します。農産、畜産、水産、惣菜など基礎用語を解説します。次に買い物をし易く、売上を最大化していく為に最も良い店舗レイアウトはどのようなものか、それは買い物する際に何から買っていくのか?を想像すると見えてきます。
【楽しく学べる】スーパーマーケットビジネスモデル解説②~スーパーの売上と利益の構造について~
スーパーマーケットがどんなビジネスモデルで成り立っているのか分かり易く解説します。今回はスーパーの売上と利益のビジネスモデルです。売上は集客にリンクし利益は運営コストとリンクしています。集客方法として確立してきたスーパーの新聞折り込みチラシはスマホの普及で徐々に効果を下げています。圧倒的に商品を安く販売するディスカウントスーパーは新聞折り込みを使用せずEDLP戦略を採用しスーパーマーケットの新しいビジネスモデルを創っています。
【楽しく学べる】スーパーマーケットビジネスモデル解説④~会員カード戦略・集客と顧客満足~
今回は、スーパーマーケットの会員カードのマーケティング戦略についてお話していきたいと思います。会員カードの活用法は大きく2つ①集客②顧客満足の向上/ スーパーマーケットの集客を担っていた新聞の購読率は直近20年で1,500万部も落ちています。スマホで有用な情報がリアルタイムで取れる時代に新聞でスーパーの特売情報で日替わり特売で集客する時代は終わりを告げようとしています。会員カードから得られた顧客情報を基に、自社が来てほしいお客様だけがお得になるマーケティング戦略を展開していくことが大切です。

 

 

プロフィール
この記事を書いた人
Masa-kun

【Twitter】https://twitter.com/masa_m2「販売職×食」業界の専門家|経歴:生協、GMS、食品SM|職務:バイヤー、店長、ネットスーパー、マーケティング(MD立案)|「販売職×食」業界の歩き方、昇り方、渡り方について発信します。

Masa-kunをフォローする
『販売職×食』業界解説
Masa-kunをフォローする
タイトルとURLをコピーしました